校長挨拶
12歳のわたしとぼく
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校長あいさつ


 若葉が萌え、夏がやって来ました。休み時間ともなれば、ガイアの森に子どもたちが、あちこちから出入りを始めます。この森は、かつて那珂川の中流域にありました老司古墳群の一つ「浦の田古墳」前方後円墳の名残です。この地域を治めた大王一族の墓でしょう。那珂川に沿って作られた道は、有明海に面した吉野ヶ里と博多湾に面した奴国(那国)を、脊振山を越え結ぶ古代街道でした。村の中央を流れる「裂田溝」(さくたのうなで)は、日本書紀に記載される日本最古(4世紀末)の人工水路で、現在も農業用水として活用されています。農耕文化を生んだこの地の古代人は、村人や家族が、里山や森や那珂川の平地の自然と上手に共生し、健やかなからだに健やかなこころが宿ることを願い、平穏に暮らしていました。
 聖書(マタイ福音書6章)に、次のような教えがあります。「空の鳥を見なさい。種をまくことも刈り入れることもせず、倉に納めることもしない。野のゆりがどのように育つかを見なさい。骨折ることも、紡ぐこともしない。だから、あなたがたは、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と思い煩ってはならない。神から与えられたすべてを、そのままに受け止めなさい。」
 健やかなからだを養うこと、それを正しく生かすこころを養うことこそが、人として、神のみ旨に適った生き方であると思います。本校が、カトリックの精神に立ち、他者を尊重する生き方を尊ぶ教育を進める源がここにあります。
 人の成長の過程で、教育学や脳科学の視点から最も注目したいのは、0歳〜12歳の時期です。それは、この時期に人間の人格・人間性の根幹が形成されるからです。人間は誕生直後から2歳の誕生日を迎えるまでに、大人の脳の基本的構造の9割が出来上がるそうです。脳の働きには、人間の意識下のものと意識外のものが あります。前者は、思考や判断等で、後者は、呼吸や消化など自律神経系や内分泌系、免疫系をさします。脳の基本構造ができるということは、脳の対応部分の基本構造もできるということでもあります。
 脳と他の機能部分との間に、どれだけ多様な刺激があるか、それが、その後の人間が一生使う体すべての機能部分に、大きな影響を与えることになります。私は、脳に対しての「身体的な刺激」「霊的な刺激」「知的な刺激」が、脳を活性化させ脳の働きを高めることにつながっていくと思います。大切な三つの刺激です。
  外遊びには、脳に対する活性要因、「身体的な刺激」がたくさん詰まっております。子どもは、木々に囲まれた、虫や花の生命と向き合える森で、虫取り、秘密基地、木いちご、栗拾い、わたしの木……、さまざまなことに興味を持ち、もっと面白いことに発展させます。外遊びは、意欲に満ちた世界です。子どもは、遊びを通して集中力を身に付けます。遊びの中でいつも自分の限界に挑戦しようとします。痛い思いを多少しつつも何度も限界に挑戦しますから、危険を感じることも身をかわす能力も身に付けます。そして、他者や自然に対する思い、自分に対する信頼、自信を醸成していきます。古墳時代から続くガイアの森。「森のある小学校」は神さまからの恵みです。
 本校は、福岡市に最初の男女共学私立小学校として開校し47年目を迎えます。豊かな伝統と教育実績をもつ学校です。これを支えてきたのがカトリックの精神と豊かな教育人材、海星ファミリーというコミュニティー、長年培ってきた人と人のつながりです。ヨーロッパ・スタンダードの学校で1学年は1クラスです。特に入門期の1年生と卒業期の6年生は、二人担任制です。それは、じっくりと一人ひとりの歩みを大切にしたいからです。理科・音楽・図工・体育・英語はベテラン教師による専科制です。また、1年生から3年生を対象とした「放課後教室」があります。専門の先生の指導で運動や学習・読書にじっくりと個性を培うことができます。第1・3・5土曜日も授業日です。この環境で、「知的な刺激」に満ちた充実した学習や豊かな学校行事を体験できます。
 そして、神さまの愛に包まれた環境です。祈りに始まり祈りに終わる心なごむ日々があります。 毎週宗教の時間や聖書に親しむ全校朝礼があります。宗教的行事が、毎月行われます。子どもたちは、「霊的な刺激」を豊かに受けて学校生活を送ります。
 「カトリックの学校 海星」は、子どもが小学校を卒業する12歳の時に身につけてほしい基本的な資質・能力・態度を、「福岡海星女子学院附属小学校 12歳のわたし ぼく」に描き、児童と教師の教育活動の指標としています。これが、本校の教育です。
 人には、それぞれの発達段階に応じた歩みがあります。自分の確かな歩みを刻むことが、その子にとって真の幸せでしょう。海星の教育で、学ぶ・遊ぶ・感じる「森のある小学校」生活を、存分に味わってください。本校の子どもはマリアさまが大好きです。



福岡海星女子学院附属小学校
         校長 山田 耕司