「松囃子」教頭 鶴田葉月
先週、大学入学共通テスト激励会で、校長先生が、「ここにいる先生たちも、同じように受験のラストランを戦い抜いた。私たちは皆さんの側で祈り、応援しています」と話されました。
大人は誰でも、そしていつまでも、受験期のことを覚えているものです。高校時代、将来の夢は、それぞれ入学したい大学、就きたい職業、手に入れたい賞や地位とさまざまでした。
少しでもそれに近づけるよう努力するのですが、なかなか思うような結果が出ないし、やればやるだけ、不足に気がつく。周りの友だちは、順調でいかにも涼しい顔をして、自分よりずいぶん先を進んでいる気がして焦り、落ち込みます。不安を解消するには、勉強するしかないから、また頑張る…この繰り返しでした。
皆さんからすると順調に見える私たち大人も、実はそんな不安でいっぱいの青春時代を通ってきたので、皆さんの気持ちがよく理解できるのです。と同時に、それぞれの努力に見合うように、神様が準備してくださった道を、今歩いているなあと、納得できます。
久留米市出身の柔道家 古賀稔彦さんは、バルセロナオリンピックで男子71㎏級の金メダリストでしたが、昨年3月に53歳で亡くなりました。彼が生前、テレビ番組のインタビューで、「負けることがあっても、負けて終わりであきらめるのではなく、再び努力すると、チャンスが必ず訪れる」と話していました。果てしなく努力を重ねて国内外の様々な大会でチャンピオンになり、平成の三四郎と呼ばれた、本当に強かった人の言葉として、説得力があります。
今年、私の手元に届いた年賀状からも、卒業生がそれぞれの道で活躍している様子が伝わってきます。高校生の時は、万事控えめで、自信がなくて、悩みが多かったというような生徒の、進学、就職、結婚などの報告は、心から喜ばしいものです。
1月に学ぶ聖書のみ言葉は,詩編 37章23節「主は人の一歩一歩を定め御旨にかなう道を備えてくださる。」です。宗教科の阿部先生が、デニス・ウェイトリーの言葉を引いて、説明していらっしゃいます。それは、自分自身のすばらしさを信じなさい。他の誰でもない、自分自身であることに誇りを持ちなさい。という言葉です。
高校時代、神様が一番いい道を準備してくださっているとは思いも寄らなかったあの頃の私や、友人たちに会いに行って、「実はそうなんだよ、安心して進んでいいんだよ」と教えてあげたい。皆さんにも一番ふさわしい道が準備されているのを信じて、頑張ってください。
お正月にお参りした神社で、今年は松囃子(まつばやし)(=新しい年に祝福をもたらす歳神を迎える民俗行事)の奉納があっているのに偶然出会ったことは、大変縁起が良く、自分自身と、みなさんのことを応援された気持ちになって、うれしくなりました。今年も、皆さんにとって、努力と、実りの多い毎日になりますようにお祈りしています。