「地の塩・世の光」教頭 鶴田葉月
新年度がスタートして、まもなく2週間です。新しい生活、担任の先生や、初めての科目に、少し慣れてきたでしょうか。今日は、新しい委員会から、目標も発表されます。何かを始めるときは、いつも少しの勇気が必要ですし、飛び込んでみた世界が思い描いていたものと違っていれば、不安になります。それでも、自分を信じ、受け入れて続けていくと、次第にうまく回るようになるものです。後から振り返ったときに、どうしてあんなに悩んでいたのか…と不思議に思うくらいに。◆今年、福岡海星女子学院高等学校は創立60周年を迎えます。60年間、多くの生徒が悩んだり喜んだりしながら海星で高校時代を過ごし、卒業していきました。リーダーシップを大いに発揮して、行事で大活躍し、注目を浴びた人。目立たなくとも、ちょっとした心配りで友だちを助け励まし、クラスの和を作ってくれた人。勉強で、部活動で、委員会で、粘り強い努力を続け、最後に大きな満足とともに、自分の目標にたどり着いた人。◆この春休みも、かつて担任した卒業生が二人訪ねてくれました。一人は、3月、お母様といっしょに、進学のための書類を受け取りに。もう一人は、4月、1歳の、歩き始めたばかりの子どもを連れて。高校時代の授業や掃除、試験や学校行事での様子をありありと思い出したと同時に、卒業後の二人の日々を想像しました。大学で、勤め先で、家庭で、様々な喜びや苦しみ、成功や挫折を経験したに違いありませんが、この日、二人の明るく落ち着いた表情を見て、私は心から安心しました。◆今月のみ言葉は「あなたがたは、地の塩である。あなたがたは、世の光である。」です。本当に苦しくて、暗闇にいるようなどん底の状況にあっては、アイディアがほしい、励まし支えてほしい、勇気をください、光で照らしてくださいと、神様に祈ります。が、実は私たちこそが、世の中で誰かを支える存在、苦しい人の心を照らす光であるのです!◆新入生の校内研修で、校長先生が、熊本の修道院のスタートについて、紹介してくださいました。マリアの宣教者フランシスコ修道会は、明治時代にフランスで創立されました。この修道会から熊本に、保護してくれる人の無い子どもたちや重い病気で捨てられ、放っておかれた方たちを助けるために、「わたしをお使いください」と言って、シスター方が集まられました。資格や資金が無くても奉仕した、その精神が私たちの福岡海星女子学院高等学校に息づいていて、ここで学ぶ私たちは、誰でも、地の塩・世の光になれます。部活動の試合や、学校行事などの特別な体験に加えて、毎日の小さな行いが私たちを作ります。それは、地道な予習復習、クラスの仲間への親切、目上の人への丁寧な言葉遣いなどです。海星の生徒であるという誇りを持って学んでほしいと思います。