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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

ミッションウィークⅢ「最高傑作」 校長 古賀誠子

本校では、今年度9月9日~9月13日までをミッションウィークとしています。すでに2日間、2名の先生方のご講話を聴くことができました。さまざまな気づきがあったことと思います。チャペルノートで十分振り返ってください。海星にいらっしゃる先生方が、カトリックをどうとらえていらっしゃるのか、自分の生きてきた人生を、神様や聖書との関係の中でどう振り返るのか、大変興味深いことです。本校では、先生方を採用する条件に、「キリスト教に理解のある方」としています。先生方は、カトリックについての研修を重ねる責務があり、夏休みもカトリック福岡神学院へ全員で出向いて行き、研修を積んできたばかりです。貴重な機会ですので、しっかりと耳を傾けましょう。

1学期の終業式でのメッセージの中で、世界経済フォーラムが出した「ジェンダーギャップ指数」についてお話しました。教育と健康という分野では、日本は、男女「ほぼ平等」という高い数値をだすことができたが、経済参画、政治参画という分野では、女性と男性の格差は大きく、世界でも大変低い数値を記録し、総合評価としては、146か国中の118位という残念な結果になったという話をしました。

さて、今日は、日本人の「SELF-ESTEEM」についてお話したいと思います。皆さんは、SELF-ESTEEMという言葉を聞いたことがありますか。3年生は知っているでしょう。「自己肯定感・自己有用感」のことをいいます。海外の学校教育界においては、20年以上前からこの言葉が頻繁に使われるようになり、学校目標に引用するところも少なくありませんでした。海外の学校のお部屋で、“Enhance Self-esteem”と書かれているのを何度か目にしたことがあります。日本語に訳すと、「自己肯定感を高めよ」という意味です。「自己肯定感」とは何だろう。ケンブリッジの英英辞書には、こう書いてあります。”belief and confidence in your own ability and value”つまり、「自分の能力や自分の存在価値に信念と自信をもつこと。」

2024年4月、日本財団が日本、米国、英国、中国、韓国、インドの6カ国で各1000人の若者を対象に実施した「18歳意識調査」において、「自分自身に将来の夢があるか」との問いに、「どちらかといえば」も含めて「ある」と回答したのは、インド88.4%、中国88.2%に対し、日本は60.1%にとどまりました。また低い数値です。この先、たくさんの時間が残されている若者が、何故、夢を抱けないのだろう。ちなみに、「家の人に褒められる」「先生がよいところを認めてくれる」と感じている若者の方が、「自己肯定感」は高いというデーターがでています。これが全てではないと思いますが、家庭生活学校教育が、若者の自己肯定感を決めるファクターの一つであるのは事実です。

さらに、次のような興味深いデーターもあります。「学級やグループ活動を通して、友達との話し合いなど他者との協働を行っていると、自己肯定感が高い傾向にある。」現在、日本全国の学校が、文部科学省の指示にしたがって、ICTを駆使し、探究やプレゼン、議論のある授業、協働学習を強調しながら、互いを認め合う教育活動に取り組み、戦後最大の教育改革を精力的に進めているも頷けます。

さて、もう少し数字を見てみましょう。これは皆さんにもお尋ねします。「他人から必要とされているか」という問いに、「そう思う」が、中国85%、アメリカ72%、韓国、インドは70%、日本は57%でした。また、「人に誇れる個性があるか」についても、中国・インド83%、アメリカ81%、韓国65%、 日本は52%、肯定的に答えた日本人の割合が60%を割り込み、他の国と比べて群を抜いて低かったそうです。

例えば、「自分を人と比較して、自分にないものを人が持っていると、自己肯定感が下がる、自分に自信がなくなる」そのような経験をしたことはないでしょうか。特に若いうちは、このような価値観が優勢になりがちです。他人と自分を比較することによって、自分の立ち位置を確かめる傾向に多かれ少なかれあるからです。しかし、逆に自分が持っているものを、友人が持っていないと、あなたの自己肯定感は本当に上がるのでしょうか、それも疑問です。SELF-ESTEEMは決して、相対的な他人との比較によって決まるものではないと考えます。It does not lie in what you have but who you are.もっと絶対的な価値観、つまり、あなたが何を持っているのかではなく、あなたが誰なのか、が大事なのです。

まとめに、キリスト教では、「あなたが誰なのか」、そして「自己肯定感」をどう考えるのかについてお話しします。

「最高傑作」 片柳弘史 神父様

「世界は神様によって作られたと、キリスト教では信じている。空や大地、海、そこに生きる木々や草花、動物、魚、そして私たち人間のひとり一人も、神様によって作られたということだ。最初の人間であるアダムは泥から造られたと聖書に記されているが、神様はきっと陶芸家が土をこねて器を作るように、わたしたちひとり一人を丁寧に形作られるのだろう。私はそんな風に想像している。

神様という陶芸家は何かを作るときに手を抜くことがない。どの作品も、妥協なく、完璧に仕上げてから世界に送り出す。だから言ってみれば、私たちの誰もが神様の最高傑作なのだ。少なくとも、神様が造ったものに失敗作など存在しない。

ところが、そう言われてもわたしたちはなかなか納得できない。「何のとりえもないありふれたわたしの、どこが最高傑作なのだろう」と疑ってしまうのだ。だが、それは単に、わたしたちに見る目がないということに過ぎない。―中略―

神様の目には、自分では気づかないわたしたちのよさが映っている。「この何とも言えない絶妙なぼけ具合。これは世界でたった一つだ。」「このどっしりとした素晴らしい安定感。これはこの人だけのものだ。」神様はそのようにわたしたちひとり一人を見ておられる。私たちは誰もが、自分にしかない良さを持った、世界でたった一つの逸品なのだ。神様によって造られた、世界でたった一人だけの自分に、わたしたちはもっと自信を持っていい。」

世間の風潮に流されず、しっかりとした価値観を持って、自信を持って生きていって欲しいと願う。他人と持っているものを比較することによって、自分の立ち位置を確かめるのではなく、ありのままの自分が、神様によってつくられた一品もの、尊い存在であることを知り、神様によってつくられた自分をもっと愛して、大切にしてほしい。それによって、あなたの人生はより豊かなものになると信じる。

最後に、Facebookで登録している「Women Empowerment Quotes」というコーナーで、たまたま見つけた詩を紹介して終わりにします。

To the woman I was, I love you.

過去の私へ、「愛しているわ」

To the woman I am, I am proud of you.

今の私へ、「誇りに思うわ」

To the woman I am becoming, I am excited for you.

未来の私へ、「ワクワクするわ」

今日も素敵な一日をお過ごしください。

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