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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

令和7年度 第1学期始業式 校長 古賀誠子

美しい110本のキャンパスの桜が咲き誇り、暖かい春の日差しが差すようになりました。暖かい風に吹かれて花びらが舞う4月は、新しい1年の始まりです。大いに学び、「成長したい」と願うあなたの気持ちを大切に、自分を「高める」1年間であって欲しいと願います。

さて、今日は最初に朗読された聖書の箇所について、ご一緒に分かち合いたいと思います。 あなたの持っている「才能」(タラント)についてのお話です。マタイによる福音書25章14節です。「天の国はまた次のようにたとえられる。ある人(ここではイエス様のこと)が旅行に出かけるとき、僕(しもべ)たちを呼んで、自分の財産を預けた。それぞれの力に応じて、一人には5タラントン、一人には2タラントン、もう一人には1タラントンを預けて旅に出かけた。」 「テレビタレント」という言葉があるように、「タレント」という言葉は私たちに大変馴染み深い言葉です。しかし、英語の talent 、「才能」という言葉が、この聖書の箇所にある、古代ギリシャ・ローマで用いられていた貨幣「タラントン」からきたものであるということは知っている人は少ないのかもしれません。当時の1タラントンは、労働者20年分の賃金に相当したと言われていますので、1タラントンでもかなりの金額です。

話はこう続きます。それぞれ5タラントンと2タラントンを預かった2人は、商売をして、それぞれ預かったものを倍にふやしました。しかし、預かったものがもっとも少なかったもの、1タラントンを預かった最後の僕は、主人を恐れ、不安になってそれをなくさないように、穴を掘ってそのお金を主人がかえるまで大切に保管しておいたのです。 かなりの日がたってから、主人が帰ってきて、お金の清算を始めます。最初の2人は、主人に大変喜ばれ、「忠実な僕よ、よくやった」と褒められます、そしてさらに多くの財産を与えられ、任されるようになりました。しかし、ただ隠しておいただけの僕に向かって、主人は「怠け者の悪い僕だ。それなら、私は私の金を銀行に預けておくべきだった。そうしておけば、利息付で返してもらえたのに。」と言って叱ります。そして、主人は預けておいた1タラントンをその人から取り上げ、闇の中にその人を追い出してしまったのです。それは、与えられたタラントンを生産的に用いることができなかったからです。

さて、この話から学ぶことが2つあります。一つ目は、タラント(才能)とは、このように神様から人に預けられたものであって、あなたの個人的な持ち物ではないということです。あなたが持っている素晴らしい力、すなわちタレントは、それぞれの力に応じて、神様の責任の下で、信頼を持って分け与えられ、神様からあなたに託された貴重な財産です。 二つ目は、神様からあなたに預けられたタラント(才能)は、増やして、生産的に用いる責任があなたの上にあります。かりに人と比較して、自分のタラントの数が少ないように見えたとしても、タラントは、あなた次第で2倍、3倍へと増えていくのです。自分のタラントを守るために、ずっと地中に埋めて隠しておく生き方を選ぶと、この僕のように最終的には、すべてを失うことになると聖書は厳しく戒めています。

では、あなたには、どんなタラントが神から預けられているのでしょうか。健やかな心身、頭脳でしょうか。あるいは、奉仕の心、希望、愛、信じる力、夢、優しい心でしょうか。きっと、それぞれの力に応じていろいろなものが与えられています。大切なことは、「神様から預けられたこれらのタラントを、どれだけ増やし、それをどう使うのか。」ということです。あなたは、それをすべて自分ものにしてしまう生き方を選びますか?それを決定する「自由」が、実はわたしたち一人一人にはあります。神様は、あなたの自由意志で、神様に協力するわたしたちであることを望んでおられます。

これは、私から皆さんへの願いですが、この与えられている「自由」の中で、あなたが何倍にもタラントを増やし、他者に対する自分の責任を踏まえ、価値ある選択を行い、行動する人であって欲しいと考えます。

最後に、バレンタイン・スーザ神父様 「そよ風のように生きる」より、皆さんにメッセージを送ります。 「平凡な生活に慣れてしまうと、進歩が止まってしまいます。絶えず目標をもってチャレンジしましょう。動きのないところに発展はありません。水も動きがなくなると腐り始めます。重く雲が垂れ込めていても、いつも輝く太陽をみているような積極的な人生を生きることを主は望んでおられるのです。」

今日から、新しい友との出会い、先生方との出会いがあります。ボランティア活動もたくさん企画されています、海外姉妹校へに出かけていく機会もあります。センスのよい選びで自分を磨き上げてください。今年度も、自分に与えられる「人、こと、もの」にすべてに感謝し、「いつもほがらかに、すこやかに過ごせますように。物事がうまくいかないときでも、微笑を忘れず、いつも物事の明るい面を見、最悪のときにも感謝すべきものがあることを悟らせてください」(生徒手帳『朝の祈り』より)と共に祈りましょう。そして、この一年の皆さんの学びが、どうか「豊かな実を結びますように」と、私はいつも祈っています。

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