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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

ミッションウィークⅤ 「金木犀のころ」教諭 池田浩美

◆10月になると金木犀が甘い香りを放ちます。その頃私は養護学校、今の特別支援学校に3週間教育実習に行きました。

◆私が実習したのは高等部で、さまざまな障害と境遇の生徒が在籍していました。身体の機能が徐々に低下し、遠からず死を迎えることが確実な生徒もいました。その頃は自分で歩くこともできない状態にまで病気は進行していました。学校では毎日いろいろなことが起こりました。ある時は、見上げるほど大きな男子から突然「おかあさん」と呼ばれたり、ピクニック中に「クマンバチくん、ぶーんぶーん」と言って駆け出していく生徒を追いかけたり、輪になってわいわいしている時に「せんせい、ポッキーたべる?」と聞かれたり……。

◆ただそばにいて歌を歌う、「わー、クマンバチくんだね!」と言って顔を見合わせて笑う、一緒にポッキーを食べてわいわいする……気づくと、心が解放されて「人間」として生きている自分がいました。なぜなのかと考えると、生徒たちは歳をとっているとか若いとか、男性とか女性とか、能力があるとかないとか、そのようないわば外側の表面的なものを見るのではなく、内側の心とか魂とかいうものを見て接してくれたからではないかと思うのです。

◆『星の王子さま』で、キツネが王子さまに「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」と言います。他者の、目に見えないものを心で見てください。そして、私たちが目を閉ざしているものに心を向けてください。

◆さて、下の絵はアール・ブリュット、障害のある方の描いた絵です。みなさんには何が見えますか? この絵に何を見ますか?

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