宗教朝礼 5月 シスター入江純子
テーマ『救い』
「わたしはこの目であなたの救いを見た」
5月はさつきの花が美しい聖母月です。聖歌集の中に「母マリア」というのがあります。
穢れなく 美しく 天と地に 喜びをもたらす方 母マリア
悲しみ 苦しみ 悩みに 慰めを与える方 母マリア
われらの願いをキリストに 愛もてとりなしませ 母マリア
私たちは マリア様というお母さまを持っています。
教皇フランシスコも穢れなきマリア様に祈ります。
わたしたちは平和の道を見失いました。
わたしたちは前の世紀の悲劇の教訓を忘れ、世界大戦の犠牲となった数えきれないほどの死者のことを忘れてしまいました。国際的な共同体として交わした約束を無視し、人々の平和の夢と若者たちの希望を裏切りました。わたしたちは欲望に取りつかれ、国益の中に閉じこもり、心は無関心によって渇き、利己主義によって麻痺してしまいました。神を無視し、偽りとともに生き、攻撃する心をかき立て、いのちを消し去り、武器を蓄えることを学び、隣人と共通の家を守るべき者であることを忘れてしまいました。戦争によって地球の庭を荒廃させ、わたしたちが兄弟姉妹として生きることを望まれる御父のみ心を、罪によって傷つけてしまいました。わたしたちは、自分以外のすべての人や物事に無関心になってしまいました。そして、恥ずかしながらこう叫びます。「主よ、おゆるしください!」
穢れなきみ心の聖マリアにこの現状を委ねて祈ります。「主よ、おゆるしください」
母マリアよ、祈る一人ひとりに語ってください。「あなたの母であるわたくしがここにいないことがありましょうか」と。
この言葉に信頼して5月の聖母月に祈ってください。ロシアとウクライナを平和への道へと導いてくださいと。
あなたたちの祈りは必ず聞き入れられます。
今日の聖書は「ルカによる福音書」第2章25~35節です。
モーセの律法に従って両親(マリアとヨゼフ)はその子(イエス)を主に捧げるためエルサレムに連れていきました。その神殿でシメオンという人に会います。この人は正しく、信仰心の篤い人で、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なないとのお告げを聖霊から受けていました。
両親は律法の規定通りにいけにえを捧げようとして神殿に入ってきました。シメオンは幼子を腕に抱き神をたたえて言います。
「主よ、今こそあなたは、お言葉どおりこの僕を安らかに去らせてくださいます。わたしはこの目であなたの救いを見たからです。」
シメオンの唯一の願いは救い主に会いたいということです。自分の生涯をこの一点にかけ、日夜神殿で祈っていました。シメオンは救い主を抱いた自分自身のいのちに確信を持って人生を全うされたのでしょう。
シスターの願い 神の創られたこの地球、世界、人々、そしてこの現状の中に置かれた私はシメオンのように「救いを見た」と言いたいですね。それは私たち一人ひとりの祈りにかかっています 。