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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

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「認め合うということ」 ~ニュージーランド姉妹校交流より~ 校長 古賀誠子

「認め合うということ」~ニュージーランド姉妹校交流より~

校長 古賀誠子 

昨年(2019年)9月15日~25日の11日間、高校2年生に、修学旅行の選択肢が一つ増え、ニュージーランドのハミルトンガールズ高校、ホームステイ語学研修が加わりました。現在の高3、18名の生徒(特別進学コース3名、進学コース12名、国際教養コース3名)と一緒に行ってきました。福岡発シンガポール経由で、およそ24時間の移動時間、オークランドからバンに乗って、およそ1時間半のドライブ、ニュージーランドの姉妹校、ハミルトンガールズ高校に到着しました。ちょうど、その時の2年生国際教養コースの長期留学生も同じ学校に留学していたので、下校時間は過ぎていたのに私たちの到着を待っていてくれました、海星ファミリーですね、嬉しかったです。学校での初日、マオリの儀式(POWHIRI)に招かれ、迫力のあるハカの歌と踊りに圧倒され、こんなに力強い文化がニュージーランドにあるということに驚きと感動を覚えたことが今でも忘れられません。ハミルトンガールズのゴードン校長先生は、儀式が行われるマラエというマオリの伝統的な建物の中で、待っていてくださっていて、歓迎のお言葉をマオリ語、英語の2つの言語でいただきました。ニュージーランドは、どこに行っても、必ず英語とマオリ語の2つの言語が使われます。したがって、私もこの儀式に出席した時、何度も何度も、そして何度も練習して、日本語、英語、マオリ語の3言語で挨拶を行いました。ニュージーランドは、11世紀ごろ、太平洋をカヌーで渡ってきたマオリの人たちが発見し、定住した国であるといわれています。19世紀英国からの入植者が増えるにつれ、主に英語が使われるようになり、マオリ語が衰退の一途をたどった時期がありました。言語の存続が危機にさらされます。2,3年生の皆さんは、英語の教科書でも学びましたが、言語は一旦消失すると、言語だけの問題にとどまりません。それに伴う民族の歴史、文化、習慣などの貴重な財産が同時に失われます。すなわち、この世界の中で、また一つ多様性という大事な財産を失うことにつながります。ニュージーランド政府は、マオリ語だけで授業をする学校をつくり、マオリ語を必修とするカリキュラムをつくるなど、マオリ語を復活させる取り組みを教育の分野において積極的に行います。言葉を復活させることができると、人々は自らの民族、文化、習慣、そして自身のアイデンティティーへの誇りを取り戻すことができます。自分が自分であることに誇りを持つ、自分をしっかりと持つ人は、世界のどこででも積極的に社会に参加・貢献できます。力強いハカの歌と舞を見ていると、ニュージーランドの魅力は、他者を敬い、ありのままの自分をよしとする人々の自信にあると私は思いました。

さて、話は戻りますが、研修中はホームステイです。主に、ハミルトンガールズ高校関係者の家庭でのホームステイが多かったです。ホストファミリーは、本当の娘のように接してくださり、どの家庭の生徒もファミリーと仲良く過ごすことができました。学校では、ハミルトンガールズ高校の生徒と一緒に、毎日授業に出席します。日本語、ニュージーランド伝統食の調理実習、体育、マオリ語の授業、これまで日本では受けたことのない興味深い授業ばかりでした。活動にはフィールドワークも組み込まれ、鳥のキウイを探しにオトラハンガへ出かけました、ハミルトン博物館では、マオリ文化やその歴史について、グループ学習しながら英語を使って、現地の人に尋ね、街を歩きながら、学びを深めていくことができました。学校での異文化交流会では、本校3年生は、英語で日本文化を紹介、さらにはソーラン節や聖歌を披露し、ハミルトンの生徒たちと有意義な交流の時間を過ごしました。最終日は、海星の生徒だけで、オークランド観光、オープントップのバスにのり、市内見学、オークランド動物園などを訪れ、夜はスカイタワーで美しい夜景を楽しむことができました。最終日は、道に迷いながら、みんなで地図を読みながら、ここでもない、あそこでもないと言って、お土産を探してまわりましたね。高校生だからこそできる旅、路線バスを使いながら、ガイドのない自分で進めていく旅、とてもいい旅でしたね。

 さて、3年生の皆さん、異文化での授業、姉妹校交流を通して、何を手に入れましたか?
この研修旅行に参加したある生徒が、この旅行を通しての気づきを英語で書いてくれたので、ここでご紹介したいと思います。

  I have never realized how wonderful it is to communicate with people in a foreign country until I took part in this trip. In New Zealand, I was surprised to see some ladies who have very beautiful tattoo on their jaws, which is called Moko. I asked people the meaning of tattoo on the female jaws. Japanese and New Zealanders think about tattoos differently. The role of a face tattoo in NZ was an identity card. Furthermore, I heard that the ladies as qualified Maori leaders can put tattoos on her jaw. What I found was that we should not push our own scale on other people. Instead, we should respect different cultures and learn from differences.

すばらしい発見です。異文化交流・異文化理解の実現は、他を受け入れる、互いを認め合うことから始まります。そして、自分の物差しを他者に押し付けて判断するのではなく、ありのままの隣人を受け入れ、そこから自ら新しい価値観・生き方を学ぶという脳の活動が必要です。
そのためには、まずは「ありのままの自分をよしとする」あなた自身が不可欠です。聖書詩篇の8篇に「神にわずかに劣るものとして人をつくり、そして顧みられる」とあります。それほどまでに神様から大切にされているあなたを、海星で、しっかりと自分のものにしてほしいと今日も祈っています。きっとあなたの人間の幅がまた一つ広がっていきます。

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