校長室からMessage

駅・空港・街角ピアノ

        校 長 山田 耕司

 ピアノが結ぶ

〇 いつの日にか就寝前のNHKBS「駅・空港・街角ピアノ」の視聴を楽しみにするようになりました。3年越しの新型コロナウイルス蔓延の中、旅行をする自由も奪われストレスが溜まります。皆様は如何お過ごしでしょうか。

〇 ピアノを奏でる場所が、かつて訪れた国や土地で あるなら興味はさらに増します。様々な民族の人が老若男女が鍵盤をたたきます。連弾や歌とのコラボも登場します。ピアノ歴や職業、土地訪問理由等がテロップで流れ興味をそそります。

 私は、ロンドンやニューヨーク、ニューオーリンズ、パナマ、メキシコ、タイ、沖縄などで出会った音楽を思い出します。人々とのふれあいを思い出します。

プレイヤーの個性豊かな演奏と語りに、何ともゆったりとした時間が紡がれます。

 読書三昧

〇 先日、嶋田理事長先生から1冊の本を頂きました。
以前、本学院で講演して頂いたシスター延江由美子さんの著書「いのち綾なす~インド北東部への旅~」です。ここは国境線も定かでないインドの僻地で、住民は殆んど東アジア系東南アジア系だそうです。民族独立戦争の過去もあります。また旧日本軍のインパール作戦の地でもあり、ジャングルには約3万人の日本兵の遺骨が未回収のままだそうです。原色の風景・民俗写真と共に19世紀からキリスト教が宣教されたれ歴史が語られます。かつて45年前でしょうかバンコク日本人学校勤務の折に訪れたタイ東北部の山岳民族の村の光景と重なります。そこでも旧日本軍の遺骨の話を聴き、修学旅行で共に訪れた6年生と共に、慰霊をしたことを思い出しました。

 一方、遠藤周作の「銃と十字架」も読み進めております。名作「沈黙」の姉妹編とも言えるそうです。17世紀のあまりにも劇的な生活を送った一日本人の存在。船を乗り継ぎ、アラブの砂漠を乗り越え、後にローマに学び司祭となったペドロ岐部の物語です。やがてペドロ岐部神父はキリシタン弾圧が吹き荒れる日本に戻ります。彼は神に向かい、キリストに同伴され、内なる聖霊に励まされ「本当のキリスト教とはただ愛のためだけにあることを証明したい」と歩みます。タイトルの「銃」は植民地獲得に狂奔するヨーロッパのキリスト教国民を、「十字架」は日本の殉教者を指します。

 
 海星100冊

〇  司書教諭の岡崎先生の熱心な指導で「海星100冊」は12年目を進めております。図書啓発には図書委員会や「おはなしや」さんも貢献します。読破した子には賞状が贈られます。人生で最も価値ある賞状の一つでしょう。〇  司書教諭の岡崎先生の熱心な指導で「海星100冊」は12年目を進めております。図書啓発には図書委員会や「おはなしや」さんも貢献します。読破した子には賞状が贈られます。人生で最も価値ある賞状の一つでしょう。

〇 人間の知恵はICTを生み、社会生活を根底から革新させました。子どもたちの遊びと学びにも多大な影響を与えます。本校でも数年前から子どもたちの将来の夢にYouTuberが登場するようになりました。リアルタイムで情報を広く知り獲得する面白さ、発信する面白さ、承認欲求の自己実現でしょうか。一方で直接体験を極めて自己を知る行為も人の成長には欠かせません。 音楽・読書・運動、むしろ人が生きる真の喜びはこちら側が強いかもしれません。

〇 90歳の男性が4歳の頃から母に進められて身につけたピアノに一人暮らしの今を感謝する言葉、そのピアノの音色に拍手を送る街ゆく人々とテレビ視聴者。ピアノが人々を結びます。

 一冊の本が私を時空を超えて自由の世界に案内します。私はシスター延江やペドロ岐部神父と共に歩いています。互いの体験を結びパッションを分かち合います。

このコロナ禍の中、子どもたちには自然の中で思い切り体ごと遊び、本の世界に埋まり、音楽に包まれ、夢と希望と悲しみをバネに生きてもらいたいと願います。

一覧