校長室からMessage

偏 見

教頭 松本 裕子

2023年がはじまりました

〇 3学期がはじまり、子どもたちが一番に歓声を上げたのが児童玄関前の「芝生広場」です。
登校してきた子どもたちが「あれ?なんだかふかふかしている。えっ⁉新しくなったの!」と足の感触を確かめながら歩いてきます。休み時間になると「気持ちいい!」と寝転がる姿も。今年度の『愛校バザー』収益金で人工芝の張り替えを冬休みの間にいたしました。保護者のみなさま方のご協力のおかげです。ありがとうございました。

 冬休みを終えた子どもたちは、気持ちを新たに目標と希望を持って新しい年のスタートをきったことでしょう。私たち教師はその目標をサポートして参ります。

こうのとりのゆりかご

〇 昨年の12月。運営委員会を中心に「クリスマス募金」をいたしました。クリスマス会では、保護者の方々からもたくさんのご協力をいただき、総額80,000円となりました。この募金は、本学院の修道会が設立した、熊本の慈恵病院「こうのとりのゆりかご募金」へ送金いたしました。

 ところで、「こうのとりのゆりかご」をご存知でしょうか。

本校では、毎年6年生が修学旅行の最終日に訪れる場所です。海星のルーツがこの場所にあるからです。2007年4月に『赤ちゃんポスト』として慈恵病院が開設して、今年で16年目を迎えます。当時は「子捨てを助長する」と多くの批判を受けましたが「罪のない子どもの命を助けたい」という思いだけで、この開設に踏み出しました。「こうのとりのゆりかご」は、様々な理由で子どもを育てられない親が人に知られず、病院に子どもを託す仕組みです。当時の医院長である蓮田太二氏は『赤ちゃんポスト』の先進国であるドイツを視察し、日本で初めての『赤ちゃんポスト』の取り組みをはじめます。国や行政の壁に何度もぶつかります。しかし、神さまの教えである「人の罪を赦しなさい」「最も弱い立場の人を助けなさい」ということに謙遜に従い続けます。これは、ハンセン病を助けた5人のシスター方の想いと繋がります。その結果、過去15年間で161名の命を救うことができました。救われた子どもたちは、親の「匿名性」ということもあり、名づけ、戸籍や里親の問題などがあります。しかし、その解決の道を行政と作りながら、救われた命が成長しています。2007年に預けられた男の子は大学へ進学し、「匿名ではなく、159人のひとりとしてゆりかごから先の人生が大事だよ」と伝えたい。と述べています。(2022年3月読売新聞)

〇 思いがけない妊娠に悩む人向けに無料の電話相談も実施していますが、大半が熊本県外からの相談だということもあり、まだまだ日本では、ハードルの高い取り組みなのです。それゆえ、慈恵病院の『赤ちゃんポスト』「こうのとりのゆりかご」への募金は「いのちへの募金」となりました。

偏 見

〇 私たちは、国籍や人種、民族、言語、宗教、性別、社会的地位などで偏見を持つことがあります。人を外見で判断してしまうこともあれば、先入観で偏見を持つこともありますが、それが偏見だと自分で気づかないことが多くあります。

 多くの国では、差別や偏見を阻止するためにいろいろな法律が制定されていますが、偏見はなくなりません。どうしてでしょうか。法律は人の行動を規制することはできても考えや気持ちを変えることはできないからです。

 私たち一人ひとりが事実を知り、誤解していたことに気づき、自分の見方や考え方を見直していくことが大切です。そして、自分と違うところばかりに注目するとそれが欠点だと考えてしまい、相手を思いやるのが難しくなるかもしれません。

相手のよい所に目を向け、謙遜になることが必要です。「へりくだって、互いに相手を自分よりすぐれたものと思いなさい」(フィリピ2.3)

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