校長室からMessage

楽しみだね合宿!

校長 山田 耕司

心がゆっくり育まれる学校

〇 聖書(マタイ福音書6章)に、次のような教えがあります。

「空の鳥を見なさい。種をまくことも刈り入れることもせず、また倉に納めることもしない。それなのにあなた方の天の父は、これを養ってくださるのである。あなた方は鳥よりもはるかにすぐれているではないか。あなた方のうち、だれが思い煩ったからといって、寿命を一刻でも延ばすことができるだろうか。着る物のことをなぜ思い煩うのか。野のユリがどのように育つかをよく見なさい。ほねおることも、紡ぐこともしない。」   

〇 こどもたち一人ひとりが神からつくられた傑作なのです。ですからどんな時でも、健やかなからだを養うこと、それを正しく生かす知恵やこころを養うことこそが、人として、神のみ旨に適った生き方であると思います。

海星の集団宿泊的行事

○ SDGs教育では人間と自然の営みを1つの地球の中でとらえ生きていくことを推奨します。そのためには豊かな知識と共に体験が必要です。「森のある小学校」だからこそ海星は「集団宿泊体験」も大切にします。

○ この1年生から始まる体験行事の中で、文部科学省がこれからの予測困難な時代に一人ひとりの子どもに期待する課題解決力・探究力・communication力・挑戦力が醸成されていきます。自然の恩恵にふれ自然に親しむ心や感謝の心が育ちます。個人目標をもって参加しますから自分自身に働きかけ新しい自分を発見できます。縦割り班や班活動の共同生活を通して、自主・規律・協働・共同・友愛・奉仕の精神を自ら養っていきます。異文化体験もあります。

夏季合宿

○ 1年生から3年生が参加します。
1年生にとっては、家族と離れて体験する最初の合宿です。 「だいじょうぶかな?だいじょうぶかな⁉」と心配しています。でも、活動班では3年生・2年生が一緒です。1年生の心配を自分たちも体験してきました。一方、自分の家をはなれて、なかよしの友だちと過ごす合宿はわくわくします。

○ 合宿は、1年生でも、自分のできることに挑戦して、自分でできることを増やし、みんなで楽しむことを、活動をしながら神さまの教えに出会うことを、大切な目的にしています。キャンドル・サービスもあります。

SUMMER CAMP

○ 4年生と6年生が参加します。
私たちの福岡海星女子学院は、「英語の海星」として、広く知られています。英語は世界をつなぐ大切な便利な言葉です。高等学校の「国際教養コース」には、生きた英語教育や国際教養を身につけたい、留学をしたい高校生がたくさん学んでいます。おとなりのマリア幼稚園では、アメリカ人のエリングソン先生と「英会話ごっこ」を楽しんでいます。小学校も船橋先生やエリングソン先生との英語の勉強や姉妹校との国際交流を楽しみながら頑張っています。

○ このSUMMER CAMPは、みんなが楽しみにしていた「英語の海星」の大切なプログラムです。九州の小学校では類を見ない本校独自の教育プログラムです。
 英語体験学習の内容をもっと豊かにするために、長崎県佐世保市で行います。活動班ごとにアメリカ人の家庭生活を体験する「アメリカンホームビジットプログラム」、アメリカ人のインストラクターとハウステンボスで活動する「ジュニア・ディレクション」「イングリッシュ・ウォークラリー」。訪問するアメリカ家庭の家族やインストラクター、ホテルスタッフと出会い、英語で交流することは、人との出会いを楽しみ、出会いの中で、心や考え方や文化を聴き合う・分かち合うことになります。

○ 世界には80億人の人々がくらしています。すべての人々が、海星っ子と同じように、幸せに毎日の生活を送っているのでしょうか。………!? アフリカや南米、南アジア、中東の子どもたちの生活はどうでしょうか?神さまは、「あなたの隣人を愛しなさい。互いに愛し合いなさい」と教えられました。子どもたちにとって、隣人とは誰でしょうか?
 英語は、子どもたちが外国の人たちと交わるときに、必ず役立ちます。このキャンプで、楽しい英語体験をしながら、話し手に寄り添ってお話を聴き、グループの人とのつながりも楽しみ、ゆっくりと考え、行動します。  

5年生自然宿泊体験

〇 2000年前ごろから島国に住む日本人は玄界灘をはさんで朝鮮半島や中国の沿岸の人々と盛んに交流・交易をしていました。農業や漁業や生活の文化が半島や大陸から伝わり、自然の恵みを生かし、日本独特の狩漁採集漁業や集約農業を生みだしました。荒海に乗り出し、せまい農地を効率的に使い、村中で協働し、美味しい水産物をとり作物を育てました。これらの労働は温和で勤勉な日本人気質を育みました。それは松浦半島の漁業や農業にも見ることができます。

○ 私たちの学校に隣接する那珂川市の中央を流れる「裂田溝」(さくたのうなで)は、日本書紀に書かれている日本でもっとも古い(4世紀末)人工の水路で、現在も農業用水として活用されています。1500年も続いているのです。

〇 老司池に抱かれた私たち海星のキャンパスには、二つの森(ガイアの森とたぬきの森)があり、高校生・小学生そしてこども園の幼児が共に生活を送っています。休み時間ともなれば、ガイアの森へ小学生があちこちから出入りを始めます。この森は、かつて那珂川の中流域にありました老司古墳群の一つ「浦の田古墳」前方後円墳の名残りです。この地域を治めた大王一族の墓でしょう。農耕文化を生んだこの地の古代人は、村人や家族が、里山や森や那珂川の平地の自然と上手に共生し、有明海や玄界灘沿岸の人々と交易をし、子どもたちに、健やかなからだに健やかなこころが宿ることを願い、平和におだやかに暮らしていました。

〇 私達の体中には漁業と農業の民のDNAが濃く刻まれています。今回の松浦市の青島での2泊3日の「自然民泊体験」を、じっくり味わいます。松浦の人々との出会いを楽しみます。潮のにおいをかいで汗を流し、水産物や野菜、美味しいものをたくさん頂きます。5年生は今まで気づかなかった自分に出会うことでしょう。そして、その感動体験を作文や俳句に自分の印象を記します。

海星のルーツを探す6年生修学旅行 

○ アジア大陸の東端に浮かぶ島国日本の長い歴史には、「西洋文明との出会い」が3回記録されています。
 それは、①キリスト教との出会い(室町時代・戦国時代 474年前) ②工業との出会い(幕末明治維新 160年前) ③民主主義との出会い(太平洋戦争終戦 78年前) です。私たち福岡海星小学校のルーツは、この3つの「西洋文明との出会い」と、深い関わりがあります。

〇 日本にキリスト教を伝えたのは、フランシスコ・ザビエルです。1549年のことでした。長崎市の外海地区(黒崎・出津・大野)は、日本のキリスト教発祥の地と言われます。約250年間の弾圧と潜伏(江戸~明治初期)・復活・発展を経験してきたキリシタン(ポルトガル語でキリスト教徒の意味)の里です。その殆どが西彼杵半島の丘陵地で、領民は雑穀やいも栽培といわし漁で、生計を立てていました。年貢収入の大変少ない過疎地・荒地でした。これらの地にも、平戸や長崎からひっそりとキリスト教が伝わって行きました。

○ 鎖国が終わり、長崎が開港されますと、宣教師たちが来日します。コンヘソーロ(告白を聴く神父)を待っていた浦上の潜伏キリシタンが、フランス寺(大浦天主堂)を訪れます。一人の婦人が近づき、「ここにおります私共は皆あなた様と同じ心です。」「サンタ・マリアのご像は何処ですか?」とプチジャン神父に尋ねます。キリスト教の再布教が始まりました。カトリックの修道会やアメリカのプロテスタントの宣教師が次々と来日しました。

 ○ 私たちの福岡海星小学校は、約130年前、南インドの貧しい人々やハンセン病の人々と共に生きたいために、シスター マリ・ド・ラ・パシオンがフランスに修道会を創ったことに始まります。プチジャン神父らとキリスト教布教のためにパリからやって来たコール神父は、熊本や福岡の筑後地方を担当していました。コール神父はひとりで熊本市琵琶崎(島崎)に集まって暮らしていたハンセン病者のケアを始めます。このコール神父に呼ばれて、マリ・ド・ラ・パシオンの下から5人のシスターが熊本に派遣されます。シスター方は、熊本に腰を落ち着けてキリストの愛の活動を始めるために、マリアの宣教者フランシスコ修道会の日本で最初の修道院を創設しました。熊本修道院です。後にこの地「聖母の丘」に、待老院(ハンセン病療養施設)・孤児院・乳児院・老人ホーム・慈恵病院(こうのとりのゆりかご)が開設されます。

                                 (了)

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