校長室からMessage

聖ヨゼフさまの年

教頭 松本 裕子

〇いよいよ明日は、第48回卒業式です。6年間、海星で学んだ32名の子どもたちが巣立って参ります。今年は、コロナ禍で6年生にとって最後の行事が中止となることがあり、寂しい思いでした。
しかし、そんな中で保護者の皆さまのご協力により愛校バザー、修学旅行、マラソン大会、クリスマス会、送別レクリエーションを形を変えて実施することができました。とり分け、海星のルーツを探る修学旅行は実り多い旅となりました。旅の最後のまとめとなる熊本の修道院への訪問は叶いませんでした。

〇3月6日にシスター入江とリモートで繋ぎ、6年生へ本校の修道会創設者の精神をお話いただきました。
今から122年前コール神父さまの要請によりハンセン病患者のお世話のために日本に派遣された若い5人のシスターのお話は「地の塩285号」でもいたしました。かつて「待労院」に若い神父さまがハンセン病の患者さんと関わりをもつために実習に来られていた
そうです。車いすを押したり、食事を一緒に食べたりお話相手をされたりされました。
ある時、ひとりの患者さんが神父様に言われます「いつもよくしてくれてありがとう。でも、一度も一緒にお風呂に入らなかったね」神父さまは「手伝ってあげてた。やってあげてた」と思っている自分に気づき、自分の生き方が『神さまが言われる「友と呼ばれる関わりをしているだろうか』と問います。そして、悩んだ末に南アフリカのエイズ患者のお世話の場に身を置き、長い間、その方たちと共に生活をし、結核になり亡くなられました。その方は、フランシスコ会の根本神父さまです。

〇みなさんは、ここまで元気で自分ひとりで大きくなったと思っていませんか。何でもできる環境があり、たくさんの方々のおかげで健康に暮らすことができます。今あることに感謝しましょう。根本神父さまのように「これでいいのか」と自分を振り返る力を持った人になってください。

〇昨年の12月8日から今年の12月8日まで、カトリック教会では、聖ヨゼフがカトリック教会の保護者として宣言されてから150年を迎えた年とし「ヨゼフ年」としました。ヨゼフさまは、イエスさまの養父として知られていますが、聖書中ではあまり記されていません。マリアさまの許嫁でありましたが、結婚前にイエスさまを授かり、養父となります。大工の仕事をしながら生計を立てますが、当時の暮らしは貧しいもので、目立つことなく生きた方です。
マリアさまが臨月を迎えた際、マリアさまを気遣い宿屋を探します。決して自分の気持ちや欲望を言ったりせず、マリアさまのために動かれ、神さまの声に聴き従った方です。
ヨゼフさまがわたしたちに示した生き方とは、日々の困難を耐え忍び、決して目立つことのない「普通のひと」「正しい人」の大切さを強調しておられるのではないでしょうか。イエスさまの教えで一番大切な教えは「愛」です。
『わたしは新しい掟をあなたたちに与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたたちを愛したように、あなたたちも互いに愛し合いなさい。ヨハネ13章34(卒業式に朗読される聖書の箇所です)』

〇今年は桜の開花が例年より早く、学校の桜も咲き始めました。また、1年生テラスのチューリップもかわいい花を咲かせています。シスター入江は小さい頃に、なぜこの土の中から赤や黄色の花が咲くのか疑問を持たれたそうです。チューリップの球根は大気の気温や地熱を感じながら土の中で花を咲かせる準備しています。みなさんは、どんな土の中で植えられ、大きくなったのか考えてみましょう。海星のルーツの良い土に蒔かれたことを振り返り、自分だけの大きな花を咲かせてほしいと祈っています。

〇6年生のみなさん、6年間たくさんの方々の愛をいただき卒業をしますね。明日、立派な姿で感謝の気持ちを表してほしいと願っています。
ご卒業おめでとうございます!

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